高齢女性ではセレコキシブのAUCが2.2倍になる話

この記事は以下のような人におすすめ!

  • 薬剤師
  • セレコキシブの血中濃度が高齢女性で上がることを知らなかった
  • 痛み止めでむくんでいる

結論:高齢女性ではセレコキシブのAUCが2.2倍になる。しかしリスクの増加度は小さい。この情報のみで疑義照会するのは現実的ではない。患者のコンプライアンス、副作用発現などが複合してから考慮する。

理由は以下です


 


高齢女性ではCmax、AUCがそれぞれ2.2倍になる

セレコックスの添付文書には、高齢女性でCmax、AUCがそれぞれ2.2倍になったのとの記載があります

しかし、高齢女性に関する注意喚起は通常の高齢者注意となんら変わりありません

実際この情報を知っていたからと言って、
医師に「高齢女性ではAUCが上がるので減量してください」と疑義照会するのは現実的ではありません

高齢女性のCmax、AUC上昇という情報を薬局薬剤師はどのように利用すればいいのでしょうか

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わざわざCOX-1に変える必要がなくなる

Cmax、AUCが高いとどうなるのでしょう?

考えるのは効果の増強と副作用の増加です

AUCが2.2倍ですから、
高齢女性では1日2回ではなく1日1回で十分な治療効果が期待できる可能性があります

効果がよくなるわけですから、
金額が上がること以外に処方に問題はありません

問題は、
どうしても1日1回しか服用できない患者さんがいた場合です

医師がそれを理由に1日1回製剤への変更をした場合、
結果的にCOX-2選択性ではない薬への変更となります

高齢者では消化性潰瘍のリスクが高まるため、
なるべくならCOX-2選択的なセレコキシブのままが良いです

そのような場合には医師への情報提供という形で疑義照会する可能性があります

 

次に考えるのは副作用の増加です

AUC2.2倍もあるということは体に薬剤が2.2倍蓄積するということです

用量依存的に副作用が発現する場合、
副作用の発生確率、副作用の重症度のどちらも増える可能性があるので注意しなければいけません

単回投与では量が増えても副作用は増えないとの報告があります

 

抜歯後疼痛第Ⅱ相単回投与臨床試験(DDS1)

下顎埋伏智歯抜歯手術後患者に、本剤5用量(25mg、50mg、100mg、200mg、400mg)又はプラセボのい ずれかを単回投与したところ、有効性は用量反応性が認められ、400mgが最も有効性に優れ、忍容性に問題がない用法・用量であると判断した。

本剤の各投与群における副作用発現率に用量反応性は認められなかった

セレコックス インタビューフォーム

 

上記のように、
単回投与で副作用発現率に用量反応性がなかったことから
考えるべき副作用リスクは長期投与の患者さんです

 


消化性潰瘍の増加?

セレコキシブはCOX-2をCOX-1の360倍阻害します
(インドメタシンは逆にCOX-1をCOX-2の2倍阻害する)

このためCOX-2選択的な阻害薬ではほとんどの場合、
消化性潰瘍は問題になりません

しかし臨床試験でも報告があるなど、
決してリスクは0ではありません

しかも消化性潰瘍の発現は用量依存性です

AUCが2.2倍であれば普段よりも確実にリスクは高くなっています

可能性は低いですが、
高用量長期服用の際は考慮すべき点になります

 


心血管系障害の増加?

心血管系障害の増加はセレコキシブを調べると必ずヒットする情報です

2004年アメリカで、COX-2阻害薬のロフェコキシブが販売中止になりました

心血管イベントの増加が確認されたためです

同じくCOX-2阻害薬のセレコキシブにもその可能性が指摘されていましたが、
こちらは特に問題がなかったようです

このため今回は心血管系障害の増加については考えません

 


腎機能低下、むくみの発現

おそらく最も考えないといけないのはむくみの発現です

臨床で多いのがむくみの取れない患者さんです

そのような患者さんでNSAIDsを中止したところ、
むくみが軽快したという事例は意外に多く聞こえてきます

COX阻害→PGE2等の産生抑制→腎臓の輸入細動脈の収縮→腎血流量の減少
という作用機序です

COX‐2は炎症部位に発現します

COX-2選択性であればリスクは低いように思えますが、
ガイドラインでも特にリスクが低いとは記載されていません

薬剤性腎障害診療ガイドライン2016

↑画像:薬剤性腎障害診療ガイドライン2016

患者さんのむくみが改善しない場合、
NSAIDsの中止・減量は考えなければいけません

その選択肢としてセレコキシブも除外できない可能性があります

 


まとめ

まとめると、

  1. 高齢女性でAUCが2倍になってもリスクの増加度は小さい
  2. よって疑義照会で減量する可能性は現実的に低い
  3. 患者さんのコンプライアンス、副作用発現などの要素が複合した場合に考慮する

 

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